今回ご紹介するのは、アンリ・ファーブル著ファーブル昆虫記であり昆虫の生態学を知るには格好の入門書です!
文庫本で10冊近くの量を誇るのでかなりの名作ですよ!
ファーブル昆虫記のあらすじ
我が国では有名なのですが、現地に行くと無名に近い人がいます。
その中の一人です。
本職はフランスの教師でありれっきとした公務員です。
その職業柄、余暇が多く、凡人ならばそれを楽しむところでありましょうが、彼はそれを身近な昆虫の生態観察に使いました。
大抵の名士がその生涯を不遇の中に終えるのが多かったのに対し、彼は収入こそ恵まれていなかったものの、ノーベル賞候補ともなりました。
と書きますと
「どの分野だろう?」と考えてしまいがちなのですが、生物学でも化学でもなく、文学賞候補であったと知りますと不思議な気分になるかもしれません。
彼の研究成果は余りにも多種多様な分野に及んでおり、誰も絞り切れなかった。それでやむなく文学賞にしたというのが真相の様です。
研究観察ノートのような内容
物なので、「むしろ、書ける方がおいでならば、お目にかかりたい。」と言うのが正直な所です。
強いて言えば随筆に近いもので、我が国なら吉田兼好著「徒然草」の、「粗筋を書いて見せよ。」と言われても、往生するでしょう。
ファーブル昆虫記から学んだこと
19世紀から20世紀(1823~1915)を生きた物理化学の教師の彼は、少なくとも実験には前提条件のブランク・テスト(比較用無負荷試験)の重要性を知っていました。
これは、彼が受けた教育(専門教育)が真っ当な物であったことを意味します。
少なくとも彼は裕福ではなかったものの、困窮はしていなかったので、ダーウィンらとの手紙のやり取りで進化論に対して自らの観察結果から、疑念を表明しているのです。
(後に20世紀時点での彼の反論は、進化論の更なる発展をもたらしたが、その当時の彼には予測できるわけもありません)。
ファーブル昆虫記から今後役立てたいこと
これは一昔前になってしまいますが、理研の女性が「簡単にスタッO細胞を作れる。」と海外雑誌に発表し、一躍時代のことがおきました。
これは私に言わせてもらえば、余りにも杜撰な計画で、できたできたと報告したは良い物の、再現性が全くありませんでした。
この原因は、多種多様な変化させるパラメータの記録を正確にメモしておかなかったため、いざ「再現して見せろ。」となった時に、唯の一度と言えど成功しませんでした。
確かに実験した当時は覚えていたかも知れませんが、その記憶は簡単になくなってしまうのです。
記録は一切漏らさず確実に。これが教訓でした。
ファーブル昆虫記の感想
「好きこそものの上手なれ」
この言葉が、これほど当てはまる人物はそうそういません。
そうそう簡単に「愛情」なる言葉は使いたくありませんが、「深い興味」と言い換えるのは可能かもしれません。周辺の人々も生き生きとしています。
ファーブル昆虫記の残念だった部分
21世紀の我々から見ると、本来なら遠慮するべき所なのかも知れませんが、悲運にも彼はその後継者に恵まれませんでした。
というのもいわゆる変わり者に属し、功績は称賛されましたが、衣鉢を受け継ぐものが居ませんでした。
確かに研究は後続の手に引き継がれましたが、彼の住み家には小規模な田舎の記念館が残るだけです。
それだけが残念です。
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